仏教国タイの南端、イスラム文化が息づくマレーシアとの国境の街、ソンクラー。かつて美しい砂浜があったが、高潮によって侵食され、現在は護岸用の人工の岩に置き換えられている。そこで二人の若い女性が出会う。シャティは保守的な家庭に生まれた地元のイスラム教徒。フォンは活動家からビジュアルアーティストに転身し、美術展のために街に来た。
お互いを深く知れば知るほど惹かれ合う二人。同性関係を禁じる伝統のもとで生きてきたシャティは内なる葛藤の波に飲み込まれていく。恐怖と欲望の板挟みになった彼女は、亡くなった最愛の祖母が語った幼少期の古い教訓の物語を思い出す。シャティの前に、祖母の物語にある奇妙な異世界の出来事が次第に起こり始め......。シャティは自分自身の道を切り開く決意をし、自分が何者であるかを受け入れていく。